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グッバイ

書こう書こうと思っていたけど書けなかったこと
やっぱり書いておこと思う。


その人の死を知ったのは2014年の11月だった。
亡くなってから既に6年が過ぎていた。
享年47歳。
大学卒業後、ほどなくしてデザイナーとしての実力を発揮。
デザイン年鑑などでは常連のように名前を見かけるようになり、
国内のみならず海外でも評価され、いくつもの賞を獲っていた。

さぞ忙しい毎日を送っていたんだろうな、と思った。
忙しすぎて身体を壊したんだろうな、と思っていた。
ショックだった。
彼は身近なヒーローだったから。




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彼は「バーヴ岩下とピンクゼントルマン」というバンドをやっていた。
大学に入ってすぐ、新入生歓迎ライブで観たのが初めてだったと思う。
レパートリーは少し前のヒット歌謡曲。
それを、洋楽ロックの名フレーズを巧みにつなぎ合わせてやるのである。
音を外しつつ、自信たっぷりに歌うヴォーカルは、若干演歌調で、
バンドの演奏は淡々と、カッコよく、ロック名曲のフレーズ。
面白くてカッコよくて、知っている曲ばかりだからとにかく盛り上がった。
ライブはいつも大盛況。
彼はそのバンドの首謀者で、ギタリストだったのだった。





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今年1月、デヴィッド・ボウイが亡くなった頃に
ふとしたことから、彼の死が自殺だったことを知った。


一体なにがあったの?
なんで? なんで? なんで?



誰にでもいずれやって来る「死」を
どうして彼が自ら選んだのかはわからない。

彼が生前最後にやっていたバンド「針生」のYoutubeを見つけたので見てみた。










その音楽は、ピンクゼントルマンしか知らない私にはオドロキだった。
あまりにシュール。
けれど画像の中で動き、話す彼の姿は
最後に大学で姿を見てから30年近く経っているのに
ほとんど変わっていなかった。(5:55頃〜)

ただ、昔とは違う暗い影を感じてしまうのは
この15ヶ月後に彼が命を絶ってしまったことを知っているせいだろうか。





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エビチ。

尊敬する先輩だっていうことは、この際置いておいて
仲間内で呼んでいたように「エビチ」と呼ばせてもらうけど
あなたはヒーローだったんだよ。





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このテープ、
カセットデッキを処分してから随分長く聴けていなかったんだけれど
どうしても聴きたくなって、物置から古いラジカセを発掘してきた。
ヴォリウムのつまみを手で持っていないと、聴こえなくなってしまう
…という代物だけど、なんとか聴くことができたよ。

案の定、音がわよわよになってしまっていたけれど
それでもしつこく何回も聴いているうちに
不思議なことにわよわよが治まり、なんとか聴けるようになったからね。

そんな昔に作ったものヤメテクレ…って?
そうでしょう。
私だったら、それこそ「舌かんで死んじゃいたい」よ。
でも、もう遅いよ。
デジタルにして保存してしまったから、これからはいつでも聴ける。
聴いてまた元気をもらうよ。



これを直接伝えられなかったのが
本当に残念でならないけれど
カッコ悪く、じたばたと後輩は生きてます。

覚えといて欲しいのは、
30年以上も後生大事にこれを持っていて、聴けばやっぱり、
一緒になって大声で歌って、「かっくい〜〜〜〜!」ってじたばたする
そんな後輩がいたってことです。
そんなふうに人の心を掴むものを、あなたが作ったんだっていうことです。




ありがとう、カッコいい先輩。
グッバイ。








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by cisco-noodle | 2016-04-03 05:18 | Diary
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